タイムリミットまであと5年!迫る病棟選択のとき(その1)

 日経ヘルスケア2013年4月号に標記タイトルで、極めて興味深い記事が載っていましたので、何回かに分けて触れてみたいと思います。
 病床機能情報の報告制度を導入するための法案が今秋にも提出され、2014年度にも運用を開始する見込みだということです。これは、①急性期②亜急性期③回復期④長期療養⑤障害者・特殊疾患⑥複数機能を有する病棟というような6つの機能ごとに、どのような患者が入院しているか、どういった医療行為を多く提供しているかなど、医療の性質が分かるような内容となっていとのこと。
 この情報が、2016年の診療報酬改定、2018年の同時改定に反映されるのは言うまでもなく、更には2018年からスタートする第7期医療計画にも反映されるということです。
 この2018年時点で、各病院の「立ち位置」がある程度はっきりするだろうというのです。その時点で、選択している病床種別と「立ち位置」にギャップがあるとすると、実力不足により改定の度に大きなダメージを受けることになります。やむなく種別を変更したとすると、「後発」ということになり経営的には不利になります。
 そうならないためにはどうするか。次回で触れていきます。

不思議な一致

 先日、予算ヒアリングがやっと終了しました。
 ヒアリングの際に参考になるかと思い、各病院の医師給与1円当たりの営業収入と看護職員1円当たりの診療収入というものを計算してみました。
 単純に、診療収入を医師給与総額と看護職員給与総額で割ったもので、医師や看護師の人件費を過剰投資していないか?医師・看護師の稼ぎが低すぎやしないか?というようなところを見るつもりで計算したものです。
 その結果、グループ平均の医師給与1円当たりの営業収入と看護職員1円当たりの営業収入が少数点以下第1位まで一致したのです。
 今後、何かの指標になるかもしれない興味深い一致ではないかと思っています。

「サ高住」の運営を病院グループがサポート

 弊社が運営する「サ高住ユノトレメゾンかしわ」は、1月8日オープン以来、順調に入居者数を伸ばしています。やはり、病院グループがバックに付いていることの安心感が大きいのではないかと思います。
 今、「サ高住」の建設ラッシュで、苦戦する「サ高住」が多いと聞きます。今後、おそらく多くの「サ高住」が淘汰の憂き目にあうのではないでしょうか。
 そこで、「サ高住」の経営者の皆様に対し、経営サポートを行なおうと思っています。弊社の経営サポートを受けることにより、AMG(病院27・老人保健施設20)との濃密な連携を組むことが可能になります。
 これにより、他の「サ高住」に対し大きなアドバンテージになること間違いなしです。

病院グループが運営する「サ高住」の優位性

 弊社が運営する「サ高住ユノトレメゾンかしわ」は、今年1月8日にオープンし2ヶ月が過ぎました。計画当初の目標であるオープン時入居申込者数20人は達成できませんでしたが、約2ヶ月遅れの3月4日付けで、この目標に到達することができました。また更には続々と見学申し込みが入っています。
 「サ高住」の超激戦区柏市で他の「サ高住」が苦戦する中、この出来は上々ではないかと思っています。
 弊社はAMG(病院グループ)の一員であり、病院グループが運営する「サ高住」を売りに営業活動を行ってきました。入居者にとって病院グループ(病院27・老人保健施設20)がバックにあることによる安心感は他に代えがたいものがあるのだと思います。
 次は、オープン6ヶ月後の満室達成に向けて担当者一同頑張っています。

いよいよ予算ヒアリングが始まります

 2月19日からいよいよ予算ヒアリングが始まります。3月18日まで一ヶ月をかけて病院・老健・クリニックの予算ヒアリングを行います。
 予算書・事業計画書は新年度1年間の経営計画を決める重要な作業です。しっかりとした事業計画に基づいた予算になっているか、綿密にチェックしたいと思っています。
 ここでしっかりした計画を立てないと、どこがうまくいって、どこがうまくいかなかったのかもわからなくなってしまいます。
 いつも結果オーライの予算では、医療情勢の激変や経営悪化に耐えられません。心してかかりたいと思います。
 しばらくブログが書けなくなるかもしれませんが、どうぞご容赦ください。

診療報酬改定骨子発表⑦

7.加算関係
Ⅰ-1(1)がん患者に対する精神的なケアや抗がん剤の副作用管理等の重要性が増加してきていることを踏まえて、がん患者の継続的な管理指導に対する評価を新設する。
⇒議論【11.15】
「がん患者カウンセリング料」は、原則1回の算定のため、医師または、医師の指示のもと、医師と連携してがん医療について一定の経験と専門的な知識を持つ看護師や薬剤師が、継続的に指導管理を行うことに対して評価を新設する。
※「薬剤管理指導料」は、入院のみ。「外来化学療法加算」は、経口抗がん剤が対象となっていないため

(2)外来化学療法加算について、加算の対象となる投与方法の拡大等に伴い、入院で行う必要のない化学療法を外来で実施するための体制に対する評価という本来の趣旨が不明瞭になりつつあること、対象薬剤が不明確との指摘があること、一部の薬剤が在宅自己注射指導管理料の対象薬剤にも含まれていること等を踏まえて、評価のあり方について見直しを行う。
⇒議論【11.15】
1.対象とする薬剤を明確に設定する。
2.外来化学療法加算の対象は、皮内、皮下及び筋肉注射を除いた点滴等による薬剤投与を重点的に評価することとする。
3.外来化学療法加算は、在宅自己注射指導管理料を算定する場合、算定不可とする。

(3)在宅自己注射指導管理料について、実態を踏まえて評価の見直しを行う。
(重1-3(10)再掲)
⇒議論【11.15】
1. 15日以上の間隔をあけて注射を行う注射等は、対象外とする。
2.導入初期と一定期間が経過した場合の評価を変更する。
3.導入前に医師が十分な教育を行うこと、実施状況を文書等で確認することに対して評価を加える。
4.新医薬品について、投与間隔などによって対象外とする。

(1)救急医療について、評価対象の明確化等を行うとともに、精神疾患を合併する救急患者等の受入の推進を図る。
① 救急医療管理加算の算定基準が不明確であることから、適正化の観点から評価の見直しを行う。
⇒議論【12.6】
単なる予定外入院等を算定としている場合や、「その他、他項目に準ずるような重篤な状態」で算定することについて、加算算定の基準が明確に決められていないため、その評価を見直す。「その他」の項目の廃止や「その他」を算定する場合のみ点数を下げるなど厳格化。

② 救命救急入院料における急性薬毒物中毒患者の評価について、基準が不明確であることから評価を見直すとともに、算定可能な施設の対象を拡大する。
⇒議論【12.6】
分析に係る評価についてより明確にし、高度救命救急センター以外の救命センターでも、算定可能にするなどの緩和をおこなう。

③ 精神疾患を有する患者や急性薬毒物中毒患者について、搬送先医療機関の決定に時間がかかることを踏まえて、受入を促進するための見直しを行う。
⇒議論【12.6】
「夜間休日救急搬送医学管理料」に、二次救急医療機関又は精神科救急医療施設が、精神疾患を合併する患者や薬毒物中毒患者について外来で初診診療を行った場合等について、評価を新設する。

(2)感染防止対策加算1について、院内感染対策を推進するためには院内及び地域の状況を適切に把握することが重要であることから、現在望ましいとされているサーベイランス事業への参加に関する基準を見直す。
⇒議論【12.6】
「感染防止対策加算1」については、サーベイランス事業への参加を望ましい要件から、施設基準とし、特に地域で独自に行っているサーベイランス事業が存在しない場合は、JANIS事業への参加を要件とする。

(5)データ提出加算、診療録管理体制加算について、幅広い医療機関の機能や役割を適切に分析評価する観点から評価のあり方について見直しを行う。
⇒議論【11.27】
1.データ提出加算の算定対象をすべての病棟・医療機関(一般病床、療養病床、精神病床)とすること
2.算定対象を広げるため、データ提出参加の機会を増やす(現行年1回申請)
3. 7:1入院基本料を算定している場合は、DPCデータの提出は必須とする。

Ⅲ-1(1)手術や一部の処置における休日・時間外・深夜加算について、勤務医の負担が大きいことを踏まえて、交代勤務制の実施又は休日等の手術や処置に係る手当の支給等を行っている場合について評価を充実させる。また、内視鏡検査について、休日・時間外・深夜加算を新設する等の見直しを行う。
⇒議論【12.6】
内視鏡検査の時間外加算を設定する。1,000点以上の処置や手術をした際の時間外加算について、上記のような条件を設定し、評価を加える。

(2)看護補助者の雇用や役割分担により、看護職員の負担軽減を促進し、医療の質の向上を図るため、特に人員が手薄になる夜間における看護補助者の評価を充実する。
⇒議論【12.6】
看護補助者の夜間配置について、評価を充実させる。
看護師の夜間配置の評価をさらに充実することについても、議論が出たが、厚労省としては、夜間の看護師獲得競争の発生を懸念しており、慎重である。まずは看護補助者の評価充実を行う。
しかしながら、重症度が高い患者を多く受け入れている病棟においての夜間急性期看護補助体制加算及び看護職員夜間配置加算の評価については、継続議論がされており、充実評価される可能性はまだ残る。
 

(3)夜勤における看護職員の負担を軽減する観点から、「夜勤を行う看護職員の1人当たりの月平均夜勤時間が72時間以下である」という入院基本料の通則は現行どおりとする。ただし、当該要件のみが満たされない場合の評価について、一般病棟7対1、10対1入院基本料における取扱いを踏まえて検討を行う。
⇒議論【12.6】
その他の72時間要件が対象となる入院基本料についても、7:1及び10:1と同様の取り扱いとする。
※40%程度の減算から20%減で済む○:1特別入院基本料の設定

(4)医師事務作業補助者の勤務場所等にー定の制限を設けた上で、医師事務作業補助者との適切な業務分担による勤務医負担軽減の更なる評価を行う。
⇒議論【12.6】
医師事務作業補助者の勤務場所には、病棟配置とすることが条件とされる可能性が高い。(現状では、病棟配置が約16%に留まる。)「勤務医の負担軽減のための対策の特別調査」の結果から、医師の負担軽減に必要なこととして、医師の増員の次に要望のある、医師事務作業補助の配置であるが、医師事務作業補助者を配置できない理由が、人員を雇うのに経済的な負担が多いとされた。その調査結果からも、点数をさらに上乗せし評価する。

Ⅲ-2(1)療養病棟又は精神病棟において、薬剤師が4週間以降も継続して病棟薬剤業務をしていることを踏まえて、病棟薬剤業務実施加算の療養病棟・精神病棟における評価を充実する。
⇒議論【12.6】
1. 療養病棟又は精神病棟について4週間という期限を廃止し、継続して評価することとする。
2.退院時の薬剤指導等を病棟薬剤業務として充実させることが検討されている。
3.病棟薬剤業務として、退院後も引き続き必要に応じて「在宅患者訪問薬剤管理指導」を行えることとし、薬局と同様に評価。

1-1-2(2)重症児(者)・準超重症児(者)入院診療加算について療養病棟等における算
定対象患者の拡大と、一般病棟における算定日数の見直しを行う。
⇒議論【11.27】
1.超重症児(者)・準超重症児(者)入院診療加算について、療養病床も発症年齢の制限なく算定が可能とする。
2.障害者施設等入院基本料以外の病棟の一般病棟には、当該加算の算定日数上限を設ける。

予算書の策定・進捗管理支援ソフト開発

 AMGでは、毎年予算書の策定支援ソフトに改良を加え、病院・老健等の精密な予算書策定を目指しています。50年近くにわたる改良の積み重ねにより、事業計画(ベッド稼働、外来患者数、診療単価、営業外収入、人員配置計画、施設整備計画、機器備品購入計画等)に連動した予算書の策定を実現しています。
 また、予算の進捗管理においては、毎月5日に超速報値、15日に速報値、25日に確定値を算出することにより、速やかな経営改善が可能になっています。
 更には、病床種別変更試算支援ソフトも作成しました。
 以上の仕組みを製品として開発し、26年4月に販売開始を目標としています。
今年度のセミナーにて以上のことを説明したいと考えています。他にはない病院・老健等専用の予算書策定支援ソフトですので、きっとご満足いただけるものと自負しておりますので、どうぞご参加ください。

明けましておめでとうございます。

 新年あけましておめでとうございます。
 昨年は政権交代があり、以前の自民党政権時代に下がり続けた診療報酬の悪夢が蘇りますが、今もこれからも大事なのは診療報酬改定ではびくともしない強固な経営基盤づくりに尽きると思います。
 弊社も及ばずながら強固な経営基盤づくりに少しでもお役にたてられるよう努力してまいりますので、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

訪問看護STを考える

 日経ヘルスケア12月号の記事で、訪問看護ステーション(以下略して「ST」とする)のことが取り上げられており、興味深く読ませていただきました。
 病院附帯のSTの多くが看護師の確保に苦慮しています。当グループのSTも例外ではありません。
 その記事では、看取りを積極的に実施していないSTほど看護師確保に苦労しているというのです。看取りを実施するとなると、24時間対応が求められ、やりたがる看護師はなかなか見つからないだろうというのがむしろ多数意見のように思ってきました。しかし、その逆で訪問看護に従事しようと思う看護師は目的意識がはっきりしていて、せっかく訪問看護に従事するのであれば、患者宅での看取りまで関わりたいと考える人が多いのだというのです。
 病院附帯のSTの多くは存在意義や役割があいまいで、所属する看護師の意識が低下するとも言っています。
 STの役割は自宅で死を迎えたい人の手助けにこそある。そのような「理念」「方針」を掲げ、それに共鳴して職員のモチベーションが上がる。
 なるほどなあ。考え方が変わりました。

フレキシブルに方針転換を

 最近、固定観念で凝り固まって変化しようとしない組織は、やはりとことんダメだなあとつくづく感じました。
 先日、ある老人保健施設に経営指導に行ってきました。経営指導をするからには、当然ながら経営がうまくいっていない施設です。経営がうまくいっていないのは、やはりうまくいかないなりの決定的な原因を抱えています。
 今や、老人保健施設は利用者の獲得競争の状態にあります。入所待機者が数か月待ちというのは昔の話となっています。その施設でも、入所者の獲得がままならず稼働が不安定で経営不調の大きな原因になっています。にもかかわらず、他の老人保健施設や特別養護老人ホームへの転出を利用者が希望していないにもかかわらず、止めていないのです。
 老人保健施設は中間施設として位置づけられ、入院治療を終えた患者を入所させ、在宅復帰を目指す施設とうい社会的役割を担わされました。それが、ずっと入所していられる施設ではないという固定観念になり、それを変えられないできたからだと思います。
 他の老人保健施設や特別養護老人ホームへの転出は、ただ横滑りさせただけで何の社会的役割も果たしていないのです。待機者がたくさんいて、数か月も待たせているのであれば、ベッドを回転させて多くの人に利用いただくという社会的役割を果たすことは必要だと思います。しかし、ベッドが空いているにもかかわらずです。
 組織にとって方針は不可欠です。しかしながら、方針は不変的なものではないはずです。そのときどきの社会情勢や制度改革、あるいは自施設の状況などにフレキシブルに対応して変化させなければならないと思います。しかもスピード感を持って。それをしなければ確実に取り残されてしまいます。
 しかし、ダメなところはそれをしません。頭が固いのか、変えることへの労力を使いたくない怠け者なのか。
 「君子豹変す」でいいのではないかと思います。

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