-改定重点項目議論の整理(その6)-

6回目はその他のいくつかの項目をまとめてみました。

【その他】
○外来のがん患者は様々な苦痛を有しており、早期から専門的な緩和ケアチームがかかわることで苦痛緩和が得られ、QOLが改善するのみならず生命予後が改善する可能性があるが、全国的には、専門的な緩和ケアを受けているがん患者数は充分ではない。こうした状況を踏まえ、がん患者がより質の高い療養生活を送ることができるよう、外来における緩和ケア診療の評価を新設する。
○透析患者数が増加している中、透析導入患者の原疾患は糖尿病性腎症が最も多くなっており、これらに係る医療費も増加していることを勘案し、糖尿病患者に対し、外来において、医師と看護師又は保健師、管理栄養士が連携して、重点的な医学管理を行うことについて評価を行う。
○外科的な治療のみならず、内科医等により行われている高い専門性を有する検査や、外来での定期的な医学管理についても、的確な診断や治療方針の決定等質の高い医療を支える重要な技術要素が含まれていることから、診療報酬調査専門組織の医療技術評価分科会での検討等を踏まえ、適切な評価を行う。
○今後、自宅以外で在宅療養を行う患者への医療サービスの提供を充実させるため、特定施設入居者に対する訪問診療料について、さらなる評価を行う。
○平成22年診療報酬改定における手術料の引き上げの効果に鑑み、我が国における手術の技術水準を確保するため、最新の外保連試案の評価を参考に、診療報酬における手術の相対的な評価をより精緻化する。また、医療現場における胸腔鏡や腹腔鏡といった鏡視下手術の普及状況や有用性等を踏まえ診療報酬上適切に評価するとともに、緊急性の高い手術など外科医の負担が大きい手術を重点的に評価する。
<対策>
○がん診療に重きをおく病院にあっては、外来における緩和ケア診療は不可欠であり、積極的に取り組むべきである。
○各病院とも相当数の糖尿病患者を抱えていると思うので、この医学管理により収入増を図れるのはもとより、糖尿病患者へのしっかりした管理体制を構築することにより集患対策の一つにもなり得る。是非とも取組むべきである。
○これから急増するであろう「サ高住」に対する訪問診療を今まで以上に評価するというのであれば、やらない手はない。医師の確保がカギになるが、新設した施設には他に先駆けて営業し、患者獲得をすべきである。病院で「サ高住」を建てて管理するというのもおもしろいと思う。
○内視鏡下の手術が可能な症例は、今や内視鏡手術である。一般急性期の診療を行う病院にあっては、欠かすことのできない診療機能の一つと思ってその機能の拡充に取組むべきである。気が付いたら取り残されていたということがないようにご注意を。

-改定重点項目議論の整理(その5)-

5回目は精神病床関係です。
今改定は、今まで経営に苦しんでいた精神病院にとっては浮上のチャンスです。しかし、指をくわえていたのでは良くなりません。努力した病院が報われる改定内容になっています。

【精神病床】
○精神科療養病棟入院料に重症者加算を新設後、重症者の受入が進んでいる傾向があり、より重症者を受け入れている病棟を評価するため同加算について検討する。
○精神科デイ・ケア等は、精神科病院からの退院、地域移行に必要なサービスの一つであり、精神科デイ・ケア等の要件の見直し、患者の状態像に応じた疾患別等のプログラムを実施した場合の評価を検討する。また、入院中の患者が精神科デイ・ケアを利用した場合の評価をデイ・ケア中の入院料の適正な評価と併せて検討する。
○認知症治療病棟入院料の入院30日以内についてさらなる評価を行い、夜間の看護補助配置の評価を新設するとともに、入院61日以降の長期入院の評価を見直す。
<対策>
○今まで以上に重症者を積極的に受入る努力により、増収が期待できる。
○まだ詳細がわからないが、疾患別プログラムは必ず取り組む必要がある。
○老健の認知症フロアとの連携(キャッチボール)で30日以内患者のアップを狙ってみてはどうか。

-改定重点項目議論の整理(その4)-

4回目はリハビリテーション関係です。

【リハビリテーション】
○急性期、回復期リハビリテーションは主に医療保険、維持期リハビリテーションは主に介護保険、という医療と介護の役割分担を勘案し、標準的算定日数を超えており、状態の改善が期待できると医学的に判断されない場合の脳血管疾患等リハビリテーション、運動器リハビリテーションについて、評価の見直しを行う。なお、要介護等認定者に対するこれらのリハビリテーションは原則次回改定までとするが、次回改定時に介護サービスにおけるリハビリテーションの充実状況等を確認する。
<対策>
要介護認定者で標準的算定日数を超えて外来リハビリを続けている患者を次回改定
までにどうするかが課題と思われる。スペースを確保できるのであれば、外来リハビリの
算定が不可となった患者の受け皿として、短時間通所リハビリの開設を検討してみて
はどうか。

-改定重点項目議論の整理(その3)-

3回目は一般病床関係です。

【一般病床】
○一般病棟における精神科医療のニーズの高まりを踏まえ、一般病棟に入院する患者に対して精神科医師、専門性の高い看護師等が多職種で連携し、より質の高い精神科医療を提供した場合の評価を新設する。
○緩和ケア病棟入院料及び緩和ケア診療加算について、がん診療連携の拠点となる病院等以外であっても要件を満たし質の高い緩和ケアを行っている病院については、評価を行う等充実を図る。
○金曜入院、月曜退院の者の平均在院日数は他の曜日の者と比べ長いことを勘案し、一般病棟入院基本料及び特定機能病院入院基本料算定医療機関のうち、金曜入院、月曜退院の割合が明らかに高い医療機関について、手術や高度の処置を伴わない土曜、日曜に算定された入院基本料の適正化を行う。
○退院日について、昼食前の退院が3/4を占めているが、入院基本料は他の入院日と同様の評価となっている。一般病棟入院基本料及び特定機能病院入院基本料算定医療機関について、一定期間以上の入院であって、高度な処置等の伴わない場合に、退院日の入院基本料の適正化を行う。
○栄養管理実施加算、褥瘡患者管理加算については、算定している医療機関が多いため、当該加算の実施体制が全医療機関で確保されつつあることを踏まえ、簡素化の観点から入院基本料及び特定入院料で包括して評価を行う。
<対策>
○精神科医師の採用を模索すべきである。上記評価の算定を狙うだけでなく、ある程度の精神疾患を持った患者を受け入れた場合に、他の医師の負担軽減ができ、入院患者をより積極的に受け入れる体制づくりの一端を担えることが期待できる。
○緩和ケア病棟入院料・緩和ケア診療加算の引き上げが確実と思われる。がん末期患者を多く扱う病院にあっては、これからの算定を検討してみるべきである。報酬額が決まり、それぞれの試算結果によると思うが、一般病床であればどの病棟にも対象患者を入れることができ、患者30人を上限として緩和ケアチームの活動により算定できる緩和ケア診療加算の方が効率的に思われる。
○土日の入院料が引き下げられるからといって、何の対策も講じず土曜などに多数の患者を退院させてしまうと、ベッド稼働の低下が危惧される。土・日に退院させるのであれば、それを補う時間外診療体制の強化による土日の入院受入数アップを図らなければならない。
○昼食前退院については、もう少し内容が明らかになってから対策を検討する必要がある。ただ、午前退院させるのであれば、午後には空いたベッドに入院受け入れをするベッドコントロールは改定がなくてもするべきである。
○今まで当たり前に算定していた栄養管理実施加算・褥瘡患者管理加算が廃止になれば、この減収を補うための新たな施設基準取得等を狙うべきである。なにもしなければ確実に減収になる改定になりますのでご注意を。

-改定重点項目議論の整理(その2)-

療養病床は、今改定への取り組み次第で最も大きく左右される病床といっても過言ではないと思います。

【療養病床】
○療養病棟において、急性期後の患者や在宅からの軽症患者の受入れを行った場合について、一定の条件のもと、さらなる評価を行う。
○救急医療機関に緊急入院した後、状態の落ち着いた患者についての早期の転院支援を一層強化するため、救急搬送患者地域連携紹介加算及び受入加算のさらなる評価を行い、対象となる患者を拡大する。あわせて、運用がより円滑になるよう同加
算については、同一医療機関が紹介加算、受入加算のいずれも届出可能とする。さらに、受入加算を療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料算定病床においても算定可能となるよう要件を変更する。
○超重症児(者)、準超重症児(者)の受入が救急医療機関の一般病床で進む傾向がみられることから、特に、後方病床における推進されるよう、超重症児(者)、準超重症児(者)入院診療加算を療養病棟入院基本料を算定している医療機関においても算定可能とする。また、現在、在宅からの入院の場合のみで評価されている初期加算を救急医療機関からの転院の場合にも算定可能とする。
○栄養サポートチーム加算について研究成果を踏まえ、療養病棟入院基本料算定病床でも算定可能とする。
○療養病棟療養環境加算の一部について、医療法の基準を踏まえた見直しを行う。
○栄養管理実施加算、褥瘡患者管理加算については、算定している医療機関が多いため、当該加算の実施体制が全医療機関で確保されつつあることを踏まえ、簡素化の観点から入院基本料及び特定入院料で包括して評価を行う。
<対策>
療養病棟療養環境加算、栄養管理実施加算、褥瘡患者管理加算が廃止になれば相当の収入ダウンとなる。それをカバーすべく、重症患者を今まで以上に積極的に獲しなければならない。重症患者を獲得するためには救急医療機関との連携は不可欠あり、連携強化・重症患者獲得により、受入加算・超重症者加算の算定回数アップ図れる。加えて区分2以上の患者獲得にもつなげられる。また、栄養サポート加算も積極的に算定を狙うべきである。

-改定重点項目議論の整理-

 これまで中央社会保険医療協議会で議論されていた診療報酬改定の重点課題について、議論の整理という表題でその骨子が1月13日付けで公表されました。このブログでは、重要と思われるものを項目別にまとめ、私なりの対策について今日から6回にわたり掲載したいと思います。
 1回目は救急関連です。

【救急】
○救急医療機関に緊急入院した後、状態の落ち着いた患者についての早期の転院支援を一層強化するため、救急搬送患者地域連携紹介加算及び受入加算のさらなる評価を行い、対象となる患者を拡大する。あわせて、運用がより円滑になるよう同加算については、同一医療機関が紹介加算、受入加算のいずれも届出可能とする。さらに、受入加算を療養病棟入院基本料、精神病棟入院基本料算定病床においても算定可能となるよう要件を変更する。
○二次救急医療機関における深夜・土曜・休日の救急搬送患者に対する外来での初期診療に対する評価を行うため、新たに医学管理料を新設する。
○調整係数については、今後段階的に基礎係数(包括範囲・平均出来高点数に相当)と機能評価係数Ⅱに置き換えることとし、平成24年改定において必要な措置を講じる。なお、基礎係数については、機能や役割に応じた医療機関群別に設定する。
<対策>
 時間内の救急受入体制はもちろんのこと、時間外救急受入体制(当直医師体制、オンコール体制、外来病棟の看護体制等)を本気で強化し、救急受入件数の大幅拡大を図る必要がある。
 それにより、深夜・休日受入の医学管理料の算定回数アップが図れ、かつ救急医療係数のアップも期待でき、更には救急医療管理加算による増収も得ることができる。救急入院した患者が紹介加算の要件を満たしたならば、漏れなく紹介加算を算定する。
 一般急性期を担う病院にあっては、今改定の中で最も重要だと思って真剣に取組むべきである。

-改定重点項目介護報酬版-

介護報酬改定の重点項目は以下の通りです。

【介護報酬重点項目】
 ○在宅復帰・在宅療養強化型老健について
 ○在宅復帰支援機能加算について
 ○入所前訪問による施設サービス計画の策定に対する評価について
 ○短期集中リハビリテーション加算の要件見直しについて
 ○入所者への軽症疾患の治療行為に対する評価について
 ○病院との地域連携計画策定に対する評価について
 ○認知症患者の入所緊急受け入れに対する評価について
 ○看取りに対する評価について
 ○医療必要度の高い利用者をショートで受け入れた場合の評価について
 ○ショートの緊急受け入れに対する評価について
 ○通所リハのリハビリマネジメント加算の算定要件見直しについて
 ○長時間(3時間以上)通所リハの引き下げについて
 ○短時間通所リハの個別リハビリテーション実施加算について
 ○医療必要度の高い利用者を通所リハで受け入れた場合の評価について
 ○訪問リハにおけるリハビリスタッフからサービス提供責任者への指導に対する評価について。
 ○サテライト型訪問リハ事業所について
 ○サービス提供責任者の資格要件について
 ○訪問介護におけるリハスタッフとサービス提供責任者による訪問介護計画を策定した場合の評価について

-改定重点項目-

 弊社では、関連病院・関連施設に対する診療報酬・介護報酬改定の重点項目を絞り込み、それに対する解釈と対策について1月4日付けで配信しました。その項目は以下の通りです。
 これから具体的になってくる改定内容に対し、更に踏み込んだ解釈と対策も配信していく予定です。
 お知りになりたい方はどうぞご相談ください。

【診療報酬重点項目】
 ○一般病棟入院基本料7対1・10対1の重症度・看護必要度について
 ○一般病棟入院基本料7対1・10対1の平均在院日数短縮について
 ○療養病棟入院基本料2の引き下げについて
 ○療養病棟療養環境加算の簡素化について
 ○療養病棟の医療区分1の患者で重い病態への評価について
 ○急性期看護補助体制加算について
 ○医師事務作業補助体制加算について
 ○救急搬送患者地域連携紹介加算等地域連携について
 ○回復期リハビリテーション病棟入院料について
 ○超早期リハビリテーション加算について
 ○外来リハビリテーションについて
 ○DPC基礎係数について
 ○DPC機能評価係数Ⅱの見直しについて
 ○亜急性期入院医療管理料について
 ○同一日他科受診の再診料について
 ○薬剤師の病棟配置について

※介護報酬の重点項目については明日アップします。

-明けましておめでとうございます-

 明けましておめでとうございます。
 いよいよダブル改定も間近に迫って参りました。財源の問題はあるにしても、頑張るところは評価し、そうでないところには退場を迫るような、メリハリの利いた改定内容して欲しいと、私個人としてはそう願っています。
 これから、核心に迫る改定情報が出てくると思いますので、このブログで改定対策等どんどん発信していこうと思っています。