-診療報酬改定情報(その6)-

 今回改定の最大の特徴は、「社会保障と税の一体改革案が示す2025年の医療・介護提供体制のあるべき姿を志向している点だ」と掲載記事は言っています。略して「2025年モデル」は以下の通りです。現時点では、この方向性を基本として改定などが進んでいくということなのでしょうが、必要以上に意識するべきではないと思っています。
 思い返してみてください。今までにも医療改革の長期ビジョンに振り回された経験をお持ちの病院がたくさんあるのではないでしょうか。顕著な例としては、急性期入院加算(紹介率)、介護療養病床の取扱いなどが挙げられます。
 肝心なのは、自分の病院のことを良く知り、病院の特性を活かした基本方針(方向性)に基づきつつ、改定や患者動態など周辺環境に応じて病棟構成を変えていくくらいの、固定観念に縛られない柔軟な病院運営が必要だと思っています。

-診療報酬改定情報(その5)-

 療養病棟入院基本料の大幅な見直しが取り上げられていました。主な内容は以下の通りです。
○療養病棟入院基本料1に新たなアウトカム評価が取り入れられる
 医療区分2・3の患者について在院日数加算の新設等
○療養病棟入院基本料2の引き下げ
○医療区分1の患者で一定の基準(重症者)を設けて、対象患者に対して重症加算を新設
○救急・在宅等支援療養病床初期加算の評価引き上げ
 これらは、「重点課題」の「慢性期入院医療の適正な評価」に該当するものと思われます。
 療養2を算定している病院にあっては、相当のダメージを覚悟しなければなりません。今からすぐにでもランクアップにむけた取組が求められるところです。

-診療報酬改定情報(その4)-

 DPCにおいては、基礎係数についてと地域における「シェア」の評価について取り上げられていました。
 基礎係数については、対策云々の問題ではないので、ここでは取り上げないでおこうと思います。
 地域における「シェア」についてですが、2次医療圏内で発生する患者を実際にどれだけ受け入れたかを機能評価係数Ⅱで評価するというものです。要は、救急に限らず、いかに断らない積極的な医療を実践したかが評価されるものだと思います。今回改定には間に合わないかもしれませんが、今からでも遅くはありません。地域へ貢献するためにも断らない医療を実践しましょう。

-診療報酬改定情報(その3)-

 急性期入院医療管理料と回復期リハビリテーション病棟入院料の対象患者のすみわけについて取り上げられていました。それぞれの入院基本料の対象患者の要件が、より細かく規定されるだろうと予想を述べています。
 更には、回復期リハビリテーション病棟入院料に今よりも上位ランクが設けられ、3段階評価になるだろうと予想を述べています。
 上位ランクの予想される要件は以下の通りです。これは、「重点課題」の「リハビリテーションの充実」に該当する内容のものだと思われます。要件クリアは決して楽ではないかと思いますが、今後ますます競争が激化するであろう回復期リハビリにあっては、漏れなくこの上位ランクを目指すべきだと思います。

【回復期リハビリテーション病棟入院料上位ランクの要件予想】
 ○医師:専従医師1人以上
 ○看護職員:13対1以上
 ○看護補助者:20対1以上
 ○専従理学療法士:3人以上
 ○専従作業療法士:2人以上
 ○専従言語聴覚士:1人以上
 ○専従社会福祉士:1人以上
 ○入院時の重症患者比率:? ※7対1入院基本料の重症度・看護必要度評も導入か?
 ○在宅復帰率:70%以上

-診療報酬改定情報(その2)-

 7対1・10対1入院基本料の平均在院日数短縮、7対1入院基本料の重症度・看護必要度基準の厳格化、10対1入院基本料に重症度・看護必要度基準の導入について取り上げられていました。先に掲載した重点的に取り組む課題(以下「重点課題」という)の「高度急性期、急性期等の病院機能にあわせた入院医療の評価」に該当する内容だと思います。
 「社会保障と税の一体改革案が示す2025年の医療・介護提供体制のあるべき姿」(以下「2025年モデル」という)の議論の中で、高度急性期を担う病院の平均在院日数は15~16日だという数字が示されています。いきなりここまで短縮はされないまでも、今回改定では、それぞれ2日ほどの平均在院日数短縮を覚悟してもいいかもしれません。
 一方、13対1・15対1入院基本料にあっては、入院90日超患者の特定除外項目の厳格化が取り上げられていました。特定除外項目を廃止して患者の病態に応じた包括点数の導入が落としどころではないかと述べています。
 いずれにしても、13対1・15対1入院基本料を算定している病院にあって、90日超の患者についてはかなりの点数ダウンを見込んで対策を講じておく必要があるかと思います。

―診療報酬改定情報―

 日経ヘルスケア11月号に「総力特集 2012同時改定はこうなる」と題して、診療報酬・介護報酬改定について、かなり踏み込んだ詳細な情報が掲載されていました。総力特集としただけあって、渾身の中身になっており読み応え十分の内容でした。まだお読みでない方は是非ともお読みください。
 社会保障審議会医療保険部会の資料を前回ブログ掲載しましたが、その重点項目に関連した内容も盛り込まれていましたので、注目したい内容をいくつか取り上げ、何回かにわけてコメントしていきたいと思います。

-診療報酬改定重点項目-

 10月26日付けで第47回社会保障審議会医療保険部会の資料が公表されました。その中で重点的に取り組む課題が示されており、私が注目したい項目を以下に掲げ、何回かに分けて感想等を述べていきたいと思います。

【急性期医療の従事者の負担軽減】
○救急、産科、小児、外科等の医師等の医療従事者の負担軽減に資する勤務体制の改善等の取組に対する評価
○救急外来や外来診療の機能分化の評価

【医療と介護の役割分担の明確化、地域連携の強化、在宅医療充実】
○在宅医療を担う医療機関の役割分担や連携の評価
○早期の在宅療養への移行、地域生活への復帰に向けた取組の評価
○退院直後等の医療ニーズの高い者への重点化等の訪問看護の充実
○維持期のリハビリテーション等における医療・介護の円滑な連携

【充実が求められる分野】
○緩和ケアを含む、がん医療の充実
○認知症の早期診断等、重度の認知症の周辺症状に対する精神科医療の適切な評価
○身体疾患を合併する精神疾患救急患者への対応等急性期の精神疾患に対する医療の適切な評価
○地域移行を推進し、地域生活を支えるための精神科医療の評価
○リハビリテーションの充実

【医療機能の分化と連携】
○高度急性期、急性期等の病院機能にあわせた入院医療の評価
○慢性期入院医療の適正な評価
○医療の提供が困難な地域に配慮した医療提供体制の評価

【効率化の余地があると思われる領域】
○平均在院日数の減少、社会的入院の是正