診療報酬改定を予測する③

 中医協総会などで、慢性期医療に関して以下のことが議論されています。
①療養病棟にあっては、平均在院日数については裾野の長い分布を示している。
②療養病棟にあっては、平均在院日数が長い場合ほど、病状の見通しが不変の患者や死亡退院の割合が大きい。
③療養病棟入院基本料1・2とも医療区分2の患者の割合が高く、療養病棟入院基本料2では、1と比べて医療区分1の患者が多く、医療区分3の患者が少ない。
④医療区分3のほとんどの項目で、療養病棟入院基本料1の方が該当患者の割合が大きい。
⑤医療区分2の項目のうち、喀痰吸引・気管切開・パーキンソン症候群・透析患者については、入院基本料1の方が多い。
⑥パーキンソン・認知症・脳血管疾患の患者は、特殊疾患病棟入院料2を除く全ての病棟に入院している。
 以上の①~⑥の議論は、整理するとこのようになります。療養病棟に長く入院している患者の多くは、病状の不変ないわゆる社会的入院が多くを占めている。そしてその多くが亡くなるまで入院している。医療区分1・2は療養病棟入院料1・2のいずれの病棟でも受け入れ、医療区分3の患者と医療区分2のうち喀痰吸引・気管切開・パーキンソン・透析患者については、療養医病棟入院基本料1を中心に受け入れている。パーキンソン・認知症・脳血管疾患の患者は、療養病棟でも受け入れている。
以上から、次回の診療報酬改定をこのように予測します。
①基本点数を引き下げ、入院期間に応じた加算を新設
②医療区分1・2の基本点数を更に引き下げ
③医療区分2のうち、喀痰吸引・気管切開・パーキンソン・透析患者を医療区分3に引き上げ
④障害者病棟・特殊疾患病棟の対象患者から、パーキンソンを除外

診療報酬改定を予測する②

 前回改定の目玉のひとつであった地域包括ケア病棟(病床)への転換は、小規模にとどまる一方、回復期リハビリテーション病棟が急速に伸びており、ADL評価・看護必要度A項目評価・ADL向上割合にばらつきがあるにもかかわらず、リハビリ提供単位数が一様に伸びていると調査結果が示しています。また、地域包括ケア病棟(病床)の患者のうち、多くの比率でリハビリテーションを実施しており、その提供単位数は2単位を中心に広い分布を示しているとの調査結果も出ています。
 以上から、地域包括ケアと回復期リハビリの条件の開きを埋めるべく、以下の改定が予測されます。
 ①地域包括ケアにおける厚いリハビリ提供に対する評価:充実加算
 ②回復期リハビリにおけるリハビリ提供単位数上限の見直し
 :ADL評価に応じてリハビリ提供単位数上限の引き下げ
 ③入院料の基準に応じてリハビリ提供単位数上限の引き下げ
 :回復期1 9単位  回復期2:7単位  回復期3:6単位

診療報酬改定を予測する①

 中医協総会や入院医療等の調査・評価分科会において、次回診療報酬改定に反映されそうな協議がなされていましたので、それを基に次回診療報酬改定の予測をしてみました。何回かに分けて触れていきます。
 まず、一般病床についてですが、7対1が厚労省の目論見に反して1万4千床しか減少しなかったとのデータが示されました。 また、平均在院日数について、7対1の平均が13.8日、10対1の平均が16.3日であるとの調査結果が示されました。重症度、医療・看護必要度については、評価項目の見直しが一定の効果があったと評価しつつ、7対1の平均が18.9%、10対1の平均が16.1%だとの調査結果も示しています。更には、7対1の一部では、自宅等への在宅復帰率が高くない医療機関もあるとの調査結果も示されています。
 このことから、前回改定では思うように減らなかった7対1を減らすべく、次回改定では以下の内容で改定が行われることを覚悟しておくべきだと思います。
 ①7対1と10対1の平均在院日数短縮:2日程度
 ②7対1の重症度、医療・看護必要度:15%→18%程度
 ③7対1在宅復帰対象範囲の縮小:自宅・居住系介護施設のみを
  対象に