訪問看護STを考える

 日経ヘルスケア12月号の記事で、訪問看護ステーション(以下略して「ST」とする)のことが取り上げられており、興味深く読ませていただきました。
 病院附帯のSTの多くが看護師の確保に苦慮しています。当グループのSTも例外ではありません。
 その記事では、看取りを積極的に実施していないSTほど看護師確保に苦労しているというのです。看取りを実施するとなると、24時間対応が求められ、やりたがる看護師はなかなか見つからないだろうというのがむしろ多数意見のように思ってきました。しかし、その逆で訪問看護に従事しようと思う看護師は目的意識がはっきりしていて、せっかく訪問看護に従事するのであれば、患者宅での看取りまで関わりたいと考える人が多いのだというのです。
 病院附帯のSTの多くは存在意義や役割があいまいで、所属する看護師の意識が低下するとも言っています。
 STの役割は自宅で死を迎えたい人の手助けにこそある。そのような「理念」「方針」を掲げ、それに共鳴して職員のモチベーションが上がる。
 なるほどなあ。考え方が変わりました。

フレキシブルに方針転換を

 最近、固定観念で凝り固まって変化しようとしない組織は、やはりとことんダメだなあとつくづく感じました。
 先日、ある老人保健施設に経営指導に行ってきました。経営指導をするからには、当然ながら経営がうまくいっていない施設です。経営がうまくいっていないのは、やはりうまくいかないなりの決定的な原因を抱えています。
 今や、老人保健施設は利用者の獲得競争の状態にあります。入所待機者が数か月待ちというのは昔の話となっています。その施設でも、入所者の獲得がままならず稼働が不安定で経営不調の大きな原因になっています。にもかかわらず、他の老人保健施設や特別養護老人ホームへの転出を利用者が希望していないにもかかわらず、止めていないのです。
 老人保健施設は中間施設として位置づけられ、入院治療を終えた患者を入所させ、在宅復帰を目指す施設とうい社会的役割を担わされました。それが、ずっと入所していられる施設ではないという固定観念になり、それを変えられないできたからだと思います。
 他の老人保健施設や特別養護老人ホームへの転出は、ただ横滑りさせただけで何の社会的役割も果たしていないのです。待機者がたくさんいて、数か月も待たせているのであれば、ベッドを回転させて多くの人に利用いただくという社会的役割を果たすことは必要だと思います。しかし、ベッドが空いているにもかかわらずです。
 組織にとって方針は不可欠です。しかしながら、方針は不変的なものではないはずです。そのときどきの社会情勢や制度改革、あるいは自施設の状況などにフレキシブルに対応して変化させなければならないと思います。しかもスピード感を持って。それをしなければ確実に取り残されてしまいます。
 しかし、ダメなところはそれをしません。頭が固いのか、変えることへの労力を使いたくない怠け者なのか。
 「君子豹変す」でいいのではないかと思います。

病院大競争時代

 12月5日の日経産業新聞に「病院大競争時代」というタイトルで記事が掲載されていました。
 他の病院ではどんなことをやっているんだろうと興味深く読みましたが、あまり目新しい内容は見当たりませんでした。
 弊社(上尾中央医科グループ)で取り組む、予算策定と予算進捗管理手法、オリジナルの「データ管理システム」による経営分析、年間を通じてシステマチックに行う経営指導など、他には類を見ない取り組みを行っています。
 上記記事ではほんの少ししか記事掲載がありませんでしたが、病院経営者にとっては、きっと興味を引く記事になるのではないかと思っています。