患者が求める医療は普遍的

 この間、九州のある病院の理事長とお話をする機会があり、その先生のお話におおいに感銘を受け、また、たくさんの刺激も受けた。
 先生の方針としては、患者を悪くしないための診療をしっかり行うこと。今の診療報酬では、病気が悪化・重篤化した方が点数がつく仕組みになっている。例えば、糖尿病患者の指導管理をしっかりやらないと、いずれは腎不全になり透析が必要になる。糖尿病の指導管理だと生活習慣病管理料(800点:糖尿病を主病とする場合)や糖尿病透析予防指導管理料(350点)だが、透析だと4時間未満でも2,030点と比較にならない。そこを敢えて、糖尿病患者に対して徹底的に指導管理を行い、透析のお世話にならないような診療を行っている。
 また、「これからは病床稼働率よりも回転率だ。ベッドのダウンサイジングも厭わない。そのかわり、“在宅は病院のベッド”という意識で在宅部門を強化していく。」も先生の方針だ。もうすぐ、有料老人ホームの上に高齢者向けのウイークリーマンションを同居させた施設をオープンさせる。「“サ高住”では家賃が高くて入れない。」という考えだ。
 いずれにしても、先生の根源にあるものは「患者にとって必要な医療」「患者が求める医療」である。しかも、この取り組みに、後々は制度や仕組みがついてくるという信念もお持ちである。
 医療経営にとって、最も確実なことは患者から選ばれることである。また同時に、患者から選ばれる病院は、どんな制度改定や診療報酬改定があっても生き残っていく。
 先生のこれからの取り組みに注目だ。