-医療法上の急性期病床群を提唱-

 12月22日に社会保障審議会医療部会の内9名の委員による、「急性期医療に関する作業グループ」第1回会合が行われました。
 そこで、医療法上で急性期病床群を位置づけることについて議論が展開されました。当該病床群の認定要件として以下の項目が考えられるとしていました。
 ○人員配置基準と構造設備基準
 ○平均在院日数
 ○入院経路(緊急入院の比率)
 ○処置内容
 ○疾病・病態
 もし、この提唱が実現したならば、認定を受けた病院には診療報酬上のインセンティブがつくことは容易に想像できます。構造設備などどうにもならない部分もありますが、この議論から目を離さないでおく必要はあるかと思います。上記認定要件にもありますが、緊急入院の比率=救急医療への取組はどの病院でもできることであり、これからも急性期医療を展開する病院にあっては欠かすことのできない、最も重要な項目のひとつとして取り組むべきだと思います。

-診療報酬改定率プラス0.004% 介護報酬改定率プラス1.2%-

診療報酬改定率・介護報酬改定率の発表がありました。
 診療報酬本体がプラス1.379%、薬価がマイナス1.375%、全体でプラス0.004%となりました。診療報酬全体ではほぼ±ゼロですが、これから徐々に具体的になってくる重点項目への取組により、大きくプラスにも、あるいは大きくマイナスにも振れることになると思います。
 各病院にとっての重点項目を絞り込み、早い段階からの取組が必要ではないでしょうか。
 介護報酬改定率はプラス1.2%とありますが、介護報酬全体に換算すると2%程度と言われる処遇改善交付金分を取り込んでの数字だとのことです。そうなると、実質マイナス0.8%ということになります。また、1.2%の振り分けは在宅1%、施設0.2%ということになっていますので、何もしないでいると、施設の介護報酬は大幅ダウンを覚悟しなければなりません。
 施設にあっては、改定対策とともにマイナス分を数で補う取り組みも必要ではないでしょうか。
まだ対策に手を付けていない施設にあっては、今すぐにでも始めるべきでしょう。

-改定情報-

12月7日付け中医協総会資料の中で、いくつか注目すべき議論が掲載されていましたので、以下に取り上げます。
 ○急性期看護補助体制加算25対1の新設について
 ○医師事務作業補助体制加算75対1・100対1の廃止について
 ○資料P137・138に各加算の算定率が掲載されていました。自分の病院と比較してみてはいかがでしょうか。
 ○療養病棟療養環境加算の廃止について
 ○回復期リハビリテーション病棟入院料の上位ランク新設について
 ○超早期リハビリテーション加算について
 ○状態の安定した患者に対する外来リハビリテーションに対し、医師の診察を不要とすることについて
 ○維持期の脳血管リハビリテーション(180日超)、維持期の運動器リハビリテーション(150日超)、の引き下げについて

-同一日複数受診の再診料が算定可か?-

-精神病床等の他科受診(透析)入院料減額幅縮小か?-

 11月30日の中医協総会資料に以下のことが掲載されていました。朗報ではないでしょうか。
○同一日の複数科受診の2科目の再診料に関して一定の評価を行うことについて。
○精神病床・結核病床・有床診療所の入院患者が透析のために他医療機関に受診する場合の入院基本料の減額幅を縮小することについて。

-実患者数イコール病院の実力(その2)-

 病院の経営指導をしていて、病院経営にとって実患者数が如何に大事かということを感じる場面が多々あります。
 ある病院は、予約制に縛られ新患・初診患者を失う仕組みを作ってしまい、再診患者ばかりを診る環境になってしまったことから、ベッド稼働率を大きく引き下げてしまいました。
 またある病院では、救急受入率ほぼ100%という体制から、それをきっかけにして実患者数の拡大に成功し、ベッド稼働等安定的な経営を実現しています。
 実患者数の獲得こそがどんな改定にも負けない強固な病院の体力となることを心しておかなければならないと思います。

-実患者数イコール病院の実力-

 診療報酬・介護報酬改定がいよいよ近づいてまいりました。これから改定まで、改定に関する情報に私も含めて一喜一憂することでしょう。
改定のたびに強く思うのは、「改定に左右されない強固な体力づくり」です。どんな改定にも負けない強固な体力を作るには、何より肝心なのが実患者数だと思っています。
 実患者数を土台として外来・入院・延いては手術などの専門治療がその上に乗っかっています。
 実患者数の獲得機会は、一般の外来診療、紹介、救急の三つに他なりません。これで新患・初診を獲得していかないと病院の診療はやせ細ってしまいます。
 実患者数さえ獲得していれば、平均在院日数を減らしても、外来受診回数が減っても、延べ患者数が減ることはありません。延べ患者数を維持しながら単価を上げることも可能だと思います。
 今一度、自分の病院が実患者数を積極的に獲得する構造になっているか、振り返ってみてください。