療養病棟生き残り競争始まる

 

2016年改定では、療養病棟入院基本料2に医療区分2・3の比率50%以上という要件が加わりました。また、「療養病床の在り方等に関する検討会」で療養20対1以外の療養病床の施設転換の類型が示されました。
2018年3月には、介護療養病床廃止、医療法上の看護配置4対1の暫定措置期間が終了します。
このことから、療養病棟入院基本料1を算定できない病棟は、施設への転換を迫られる可能性が大です。2025年モデルでは、慢性期病床入院患者で医療区分1の7割を在宅移行させる方向性が示されていることからも、この可能性が大きいことがわかります。
2018年同時改定まであと2年の勝負です。

診療報酬改定に思う

2016年診療報酬改定は、改定率▲0.84%との発表がありはしたが、薬の「市場拡大再算定」分の▲200億円分が隠されていて、今までの計算方法でいくと、実際の改定率は▲1.03%だという。医師会騙し、医療関係者騙しとも受け取れる。
個別改定項目の内容を見ても、首をかしげたくなるような項目が見受けられる。例えば、7対1入院基本料の「病棟群単位」だ。当初、「病棟単位」への暫定措置的な公表をされていたが、7対1入院基本料削減の激変緩和措置として説明されている。今後は、「病棟単位」なのか、それとも「病床種別単位」なのか、先行きが見えない。
それから、地域包括ケア病棟(病床)だ。手術・麻酔の出来高算定が可能になるが、それで地域包括ケア病棟(病床)の拡大が進むとは思われない。「病棟群単位」により、7対1と10対1の混在が可能になるので、7対1を維持できない病院は、まず一部の病棟を10対1にするだろう。急性期を持たない病院であれば意味があるが、急性期とのケアミックスであれば、手術患者は急性期病棟で受け入れるであろう。
更には、療養病棟の在宅復帰機能強化加算だ。今回の改定で回転率の考え方が消えてしまった。年間平均入院患者数が新入院患者数のことを指すのだとしたら、今までとは真逆で、いかにベッドを回さないかが重要になってくるように思われる。
その他にも首をかしげたくなるようなものがあるが、いずれにしても、2年に1回の度に場当たり的な改定にはして欲しくない。医療機関にとって、この先の道筋が見えるような改定であって欲しいものだ。

独自の手法で地域医療構想に見合う病院づくりに着手

いよいよ今年は多くの県で地域医療構想がまとめられていくことになると思います。多くの課題が残されるとは思いますが、各県でまとめる地域医療構想の中で自院の立ち位置を見出し、その立ち位置に見合った病院づくりを進めなければならないと思います。
そこで、弊社独自のデータ分析により、この取り組みに着手いたしました。最終的には、地域の医療環境、想定される地域医療構想(医療機能ごとの必要病床数)更には病院の機能分析により、最適な病棟構成等病院経営方針を策定し、それをツール化したいと思っています。
完成の暁にはこのブログでも紹介したいと思っておりますので、どうぞお楽しみに。

改定情報から見えたもの 「高度急性期=7対1」

12月9日付中医協公表の総会資料で急性期入院医療に関するものが掲出されていました。
「重症度、医療・看護必要度」評価の見直し、在宅復帰率評価の見直しなどについて協議内容が示されていました。これらの見直しも影響は大きいと思いますが、それにも増して注目すべきは、入院基本料の施設基準が急性期病棟全体(傾斜配置可)から、病棟単位にすべきだという議論です。この改定が実施されると、「看護配置」「夜勤時間」「重症度、医療・看護必要度」「在宅復帰率」「平均在院日数」これらの基準を全て病棟単位でクリアしなければいけないことになる可能性があるということです。また、急性期病棟において、異なる看護配置基準の病棟が混在することになります。
2025年モデルの中で、何が高度急性期なのか?何が急性期なのか?見えていませんでしたが、前述の議論から、ICU・ハイケア等に加えて7対1も高度急性期と見ているだろうことが見えてきたように思います。急性期の入院基本料を病棟単位とすることで、ICU・ハイケア等を持てない病院も、高度急性期と急性期を混在させることができるからです。
もしそうであれば、今後の診療報酬改定で、高度急性期13万床に向けて、7対1の施設基準がますます厳しいものになるだろうことを覚悟しなければならないと思います。また、それに耐えられそうにない病棟にあっては、7対1の看護配置をいかに計画的にスリム化していくか。これらを如何に早く決断して取り組むかが、最も重要は経営課題のひとつになるだろうと思います。

福岡セミナー定員を120名に拡大

来る12月11日(金)、弊社主催第15回目になる病院経営改善セミナーを福岡で開催いたします。九州初上陸です。おかげさまで今日現在募集定員を超える104名の参加をいただいています。
弊社の目指す、他のセミナーでは聞けないような経営実務に直結したセミナーの内容となっています。定員を120名に拡大して対応いたしましたので、定員までもう少し余裕がございます。奮ってご参加ください。

病院と在宅との連携(病在連携)強化で在宅部門の強化・拡大

現在、在宅部門の強化・拡大と病院・在宅部門間の連携強化を目的としたプロジェクトがスタートしています。その取り組みの中で、病院・在宅部門間の情報交換が極めて不足していることがわかりました。
病院と在宅部門がそれぞれ患者情報を持ち寄り、情報交換を密にすることにより、在宅の専門家である視点から、入院中の患者で在宅復帰可能な患者を選定することができるのではないか、更には在宅復帰に向けて、在宅部門から支援することも可能になるのではないか。また、在宅サービスを利用している患者の情報を得ることにより、急性増悪などの際の入院受入が、今まで以上に円滑になるのではないか。そのことにより、病状が重篤にならないうちに入院させられ、治療後の在宅復帰が容易になるのではないか。様々な可能性が広がるように思います。
在宅復帰が促進されれば在宅サービス利用が拡大し、結果在宅部門の強化・拡大につながります。病院との連携も緊密になります。
このような成果が出せるか、これからの進展が楽しみです。

第14回経営改善セミナー in 金沢 補足資料について

セミナーにご参加いただきました方々へ

手違いで熊本のデータを載せてしまい申し訳ございませんでした。
金沢市の患者数推計と、石川県の病床機能報告公表データをアップさせていただきました。
どうぞご覧くださいますようご案内申し上げます。

 

病床機能報告データ_石川県2金沢市の患者数推計

病床機能報告公表データ 2014年7月1日時点~6年後の状況(機能別グラフ)
病床機能報告データMAP

神は細部に宿る

 ラグビーW杯での日本代表の活躍ももちろんのこと、五郎丸選手の驚異的なキックの精度が世界中を驚かせたのは記憶に新しいことと思います。また、五郎丸選手の腰をかがめたルーティーンにも注目が集まりました。このルーティーンのそれぞれの動作には特に意味はないのだそうですが、ひとつひとつの動作に細かい改良を重ね、キックに集中でき、しかも常に同じ動作でキックを行うことにより、その精度を驚異的なものまでに高めていったのだというようなことを聞きました。
 日本代表も、エディー監督の下、妥協のないこだわりにより、強い日本ラグビーが結実したのだと思います。
 スポーツもそうですが、細かいところを疎かにする組織に良いとことはないように思います。
 受付の案内はどうか。電話の応対はどうか。張り紙は見やすいか。案内表示はわかりやすいか。こわれてそのままになっているものはないか。器物が患者の妨げになっていないか。そんな些細と思われがちなところにこそ、病院の良し悪しが表れるように思います。
 「神は細部に宿る」肝に銘じましょう。

いよいよ在宅部門強化拡大に着手

 2025年には、今までは入院対象であった患者(長期療養)の内30万人を在宅へ誘導するとの構想があります。それに向けて、高度急性期から慢性期に至る全ての医療機能において入院患者の絞り込みが行われるものと思います。
 多くの病院では、在宅サービスがその基盤を支える土台となり、病院と在宅間で患者が循環する仕組みが不可欠になる時が来ると思います。
 当グループでは、今日まで在宅サービス事業所の多くが病院等の附帯事業としてぶら下がり、独立独歩の意識に欠けるところがありました。一方、本体である病院等も在宅サービス事業所をおまけ的存在、ひどい所ではお荷物的存在として扱ってきました。これではうまくいくはずもありません。
 中には、病院等に頼らず、自分たちで事業規模を拡大し経営も順調な事業所も少数ではありますが存在します。それらお手本となる事業所を中心に、見習うべき点を参考にして他の事業所が追随できるような仕組みづくりに、ようやく着手し始めたところです。
 運よく、全国展開する介護事業の大手で勤務経験豊富な人材を採用することができました。そのノウハウを大いに活かし、焦らずではありますが、できるだけピッチを速めて、在宅部門の強化拡大に取り組んで行こうと思っています。
 今後、その成果のほどをこのブログでもお知らせできたらと思っていますので、どうぞお楽しみに。

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