なんちゃって7対1は大打撃

 今改定で、最も打撃を受けたのは7対1入院基本料だろう。90日超の特定除外制度廃止・短期滞在手術等基本料3の拡大により、平均在院日数の実質的な短縮が大きく響いたように思われる。特に、診療機能の伴わない7対1入院基本料算定病院は、ベッド稼働率を大きく引き下げてしまった。データを分析してみると、1床を支える新患・初診・紹介・救急患者数が足りない病院がベッド稼働率を下げている。要は診療機能が伴わない実力不足の病院である。このような病院は、診療機能UPの対策あるいは病棟構成の再編成を行わないと、今後の診療報酬では更に打撃を受けることになる。
 残された時間はそれほどない。対策を急ぐべきである。

プリオセミナー初の名古屋開催

 10月24日(金)にプリオ主催のセミナーを名古屋で開催します。同セミナーは、今回で10回目を数えますが、名古屋での開催は初めてとなります。
 2025年問題対策、様式9号の工夫、適時調査対策という、弊社鉄板ネタに加え、介護報酬改定の行方、メンタルヘルスチェックについての2題を新たに加え乗り込みます。前回の大阪では131の参加をいただきました。名古屋会場は96名定員で、9月22日現在すでに40名を超えています。
 他にはない、実務的でしかもかなり突っ込んだ内容で勝負したいと思っています。参加ご希望が定員を超えるおそれもございますので、お早目のお申し込みをお願いいたします。

やりたい仕事(診療)だけではダメ

 病院の経営を考えるとき、やりたいことだけをやっていたのでは経営は成り立たない。経営が苦しい病院の中に、自分たちのやりたい仕事(診療)だけをやっている病院をたまに見かける。
 自分たちの目指す診療は是非とも持っているべきだと思う。しかしながら、はじめからそれだけをやっていたのでは病院経営は成り立たない。地域住民との付き合い(町内会活動等)や地域医師会との付き合い(医師会活動)などは民間の多くの病院では欠かせないものである。また、夜間・休日の診療も地域に根差した医療ではなくてはならないものである。
 このような、「面倒くさいこと」「やらない方が楽なこと」を避けていると地域から見放されてしまう。
 “たけし”が映画監督をやり始めた当初こんなことを言っていた。「いつか撮りたい映画を撮るために、今は売れる映画を撮るんだ」「深イイ!」言葉ではないだろうか。

プリオセミナー初の大阪開催

 8月8日(金)にプリオ主催のセミナーを大阪で開催します。同セミナーは、今回で9回目を数えますが、大阪での開催は初めてとなります。
 2025年問題対策、様式9号の工夫、適時調査対策という、弊社鉄板ネタで大阪に乗り込みます。今日現在84病院132名の参加希望をいただいています。
 他にはない、実務的でしかもかなり突っ込んだ内容で勝負したいと思っています。評価の厳しい関西において、辛辣な意見をいただかないよう心を込めてお届けしたいと思います。

病院・老健にとって重要な営業活動

 今や、病院や老健にとって営業活動は不可欠な機能となってきました。
 病院では、病床種別ごとに必要な対象患者を獲得しなければなりません。老健も同様に利用者の獲得をしなければなりません。
 待っていたのでは、他の病院・老健に取られてしまいます。それには戦略的な営業活動が不可欠です。
しかしながら、医療・介護における営業のプロというのは、欲しくてもなかなかお目にかかれないのが現状だと思います。そのようなご要望に応えるべく、弊社では医療・介護における営業のプロによる営業代行を事業のひとつとしています。どうぞご一報ください。

在宅復帰率の罠にはまるな!

 介護報酬改定で、老健の在宅復帰率が問われることになったことで、その罠に嵌り多くの老健が入所稼働率を落としました。「どんどん退所させなくては・・・」との考えから、入所者に退所誘導を行った結果、多くの入所者が他の老健や特養などに出て行ってしまったのです。退所者の多くが在宅復帰をしたのならまだしも、在宅復帰率の基準を満たせず、入所稼働が落ち込み、経営を大きく圧迫する結果になったのです。
 今回の診療報酬改定で療養病棟でも在宅復帰率が問われることになりました。一部の病院で、前述の老健と同様の罠に嵌っている病院が見受けられます。
 ベッド回転率は10%以上でいいわけですから、在宅復帰が見込める患者以外はむやみに退院誘導などしなくていいのです。「長期入院の患者を退院させたわいいが、そのあとの入院患者が獲得できずベッド稼働が急落した。」「あわてて入院患者を獲得したが、医療区分1の患者ばかりで単価が下がった」など、在宅復帰の罠にはまらないようお気を付けください。
 しっかり戦略を練って、計画的に在宅復帰に取り組むべきだと思います。

電子カルテを宝の持ち腐れにしないために

 この間、MDC別に救急搬送入院とそれ以外の入院の重症患者比率(重症度、医療・看護必要度評価において、A項目2点以上かつB項目3点以上の比率)を比較してみました。平均すると救急搬送入院の方がそれ以外の入院を5ポイントほど上回っているという結果になりました。
 MDC別、病院別に見ると、とても興味深い結果となっており、その詳細については別の機会に触れたいと思っています。
 今回、述べたかったのは結果についてではなく、電子カルテの機能についてです。今回の調査を紙カルテでやろうとすると、かなりの作業時間となってしまいます。まずは、救急搬送入院の患者を特定して、その患者のカルテをひとつひとつ見て重症度評価を確認しなければなりません。一方、電子カルテでは同様のデータが30分ほどで抽出できてしまうのです。
 電子カルテは診療情報の塊です。これを有効に活用してこそ莫大な資金投入をした価値があるというものです。ただ、これを有効活用している病院がどれほどあるのかが問題です。情報の共有化などで便利になったというだけでは宝の持ち腐れです。瞬時に抽出できる診療情報をより良い病院づくりに大いに活用すべきではないでしょうか。

患者が求める医療は普遍的

 この間、九州のある病院の理事長とお話をする機会があり、その先生のお話におおいに感銘を受け、また、たくさんの刺激も受けた。
 先生の方針としては、患者を悪くしないための診療をしっかり行うこと。今の診療報酬では、病気が悪化・重篤化した方が点数がつく仕組みになっている。例えば、糖尿病患者の指導管理をしっかりやらないと、いずれは腎不全になり透析が必要になる。糖尿病の指導管理だと生活習慣病管理料(800点:糖尿病を主病とする場合)や糖尿病透析予防指導管理料(350点)だが、透析だと4時間未満でも2,030点と比較にならない。そこを敢えて、糖尿病患者に対して徹底的に指導管理を行い、透析のお世話にならないような診療を行っている。
 また、「これからは病床稼働率よりも回転率だ。ベッドのダウンサイジングも厭わない。そのかわり、“在宅は病院のベッド”という意識で在宅部門を強化していく。」も先生の方針だ。もうすぐ、有料老人ホームの上に高齢者向けのウイークリーマンションを同居させた施設をオープンさせる。「“サ高住”では家賃が高くて入れない。」という考えだ。
 いずれにしても、先生の根源にあるものは「患者にとって必要な医療」「患者が求める医療」である。しかも、この取り組みに、後々は制度や仕組みがついてくるという信念もお持ちである。
 医療経営にとって、最も確実なことは患者から選ばれることである。また同時に、患者から選ばれる病院は、どんな制度改定や診療報酬改定があっても生き残っていく。
 先生のこれからの取り組みに注目だ。

回復期なのか、それとも地域包括ケアか

 前のブログで、「7対1なのか、それとも10対1か」について述べました。もうひとつ悩ましいのが表題にある選択です。
 そこで、7対1と10対1の比較同様、回復期リハ病棟と地域包括ケア病棟の損得(収支)の比較をしてみましたので掲載いたします。
 結論から先に述べますと、やはりよくできたもので、損得勘定でいけば、ほとんどかわらないということになります。
 しかしながら、対象となる患者の流れ、入院期間、体制強化加算という魅力的な加算があることなどから、急性期からの移行、急性期との機能ミックスは、回復期リハ病棟を第一選択肢ではないかと思っています。
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7対1なのか、それとも10対1か

 今改定の目玉のひとつが、7対1入院基本料のふるい落としであることは間違いありません。また、今後の改定の基本路線であることもまた明らかと言えます。
 様々な制度改革の方向性から、やはり7対1=高度急性期、10対1=一般急性期ということが読み取れます。
 そこで、「7対1なのか、それとも10対1か」を真剣に考える時期に来ているのではないかと思うのです。7対1の入院料とステータスにしがみついていたいという気持ちもわかります。しかしながら、高度急性期に見合う診療機能が期待できるのなら、それに向かって突き進めばいいのですが、それが期待できないのであれば、基準を満たせなくなったときのダメージは、後になればなるほど大きくなると思います。場合によっては、今決断してスリム化を図るのも悪くはないようにも思えます。
 それでは、7対1と10対1のどっちが得なのかです。収支による損得計算をしてみましたので掲載いたします。
 結論としては、診療報酬はうまくできていて、損得が無いようになっているんだということがよくわかります。
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