医療費40兆円を突破!! 診療報酬改定(厳格化)への準備を急ぐべし

 医療費が12年連続で増加し、2014年度は前年度より7千億円増加の40兆円突破、という報道がありました。当然ながら、医療費を抑制しようという圧力が高まるのが予測されます。2016年診療報酬改定は、相当の引き下げや施設基準の厳格化を覚悟しなければならないと思います。
 診療報酬引き下げ・施設基準厳格化に対抗するにはどうしたらいいか?患者数を増やすことです。しかもより重症の患者をです。
 急性期だけでなく、回復期であっても療養であっても、それぞれの対象となる患者の中で重症の患者をより集められる病院が勝ち残るのは間違いありません。また、入院だけでなく外来もです。政策は外来を抑制しようとしていますが、そんなものに振りまわされず、病院にかかりたい患者がいれば、それを受け入れるのが病院の使命だと思います。
 当たり前のことばかりだと思われるかもしれませんが、その当たり前のことができていない病院が沈んでいくのも事実です。
 今一度原点に立ち返って自院を評価し、来年の改定に向けて準備を急ぐべしです。

病床種別転換自動シミュレーションツール ついに完成!!

 2025年へ向けて、7対1入院基本料の平均在院日数短縮、重症度、医療・看護必要度基準の厳格化、在宅復帰率基準の厳格化などが待ち構えており、多くの病院が病棟再編成を検討しなければならない状況にあると思います。
 病棟構成を見直す上で、最も重要なのが転換後の収支ではないかと思います。これをどんぶり勘定で行ったのでは、どんな経営状況になるかわかりません。そこでより精密なシミュレーションが必要になってきます。これを自動的・合理的に行うツールは、今まであるようでありませんでした。
 このたび、弊社で収入・支出とも自動計算できるツールを開発いたしました。興味のある方はどうぞご連絡ください。お待ちしております。

次のセミナー主催に向けて再出発

 8月7日開催の大阪セミナーにおいては、89名もの参加をいただきました。アンケートでは概ね好評価をいただきましたが、時間設定の曖昧さ、資料の一部見難い部分などのご指摘をいただきました。
 お金をいただいている以上、参加をいただく皆様全員にご満足いただくのが使命だと痛感させられました。今回の主催で13回目を数え、毎回好評価をいただく中で、慣れや慢心があったように猛省しています。
 お金を支払いご参加いただく受講者の皆様は、たいへん勉強熱心で一言一句を聞き逃すまいという方が多くいらっしゃいます。時間の都合で全ての演題が聞けず、この演題だけは聞いておきたいという受講者もいらっしゃいました。そこで、当初のスケジュールからズレが生じたのでは、聞くべき演題が聞けなくなってしまう可能性も生じます。
 また、あとで読んでおいてくださいと言っておきながら文字の判別が困難な資料があるのは、あってはならないことだと思いました。また、聞き漏らした部分やあとで再確認のために資料を読み返す受講者の方々も多くいらっしゃると思います。そのときのために、資料は全て読みやすいよう、見やすいようにしておかなければならなかったと思います。
 この猛省を活かし、次回以降のセミナーでは完璧を目指し、また、受講者の皆様全員から「たいへん満足できました」という評価をいただけることを目指し、準備して参る所存です。

地域包括ケア病棟はどうなるのか?

 2016年診療報酬改定に向けて、中医協や入院医療等の調査・評価分科会で議論が行われています。次期改定の目玉は、やはり7対1をどう減らしていくか、また、7対1からの転換の受け皿であり、地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担わせようと考えている地域包括ケア病棟の評価の在り方をどう考えるか、ではないかと思います。
 地域包括ケア病棟(病床)で受け入れている患者の多くは、急性期病棟からの転棟で、整形外科での術後であり、退院までのリハビリを主目的にしている。言ってみれば、亜急性期入院医療管理料と何ら使い方が変わっていないとも言えると思います。厚労省は在宅患者等の急性増悪の際の受け入れ先として想定しているものと思え、そこから大きくはずれているように思えます。また、亜急性期入院医療管理料がなかなか増えなかった過去の事実を考えると、このままでは地域包括ケア病棟も増えていかないように思えます。
 そこで、地域包括ケア病棟の評価の在り方について様々な検討がなされています。ほとんどが包括評価となっている地域包括ケア病棟にあって、出来高算定を認めていくのか、また、その範囲はどこにするのかということです。
 7対1等からの転換を考えている病院にあっては、議論の行方を注意深く見ていく必要があるでしょう。

大阪セミナー残り定員まで残りあとわずかお申し込みはお早めに!

 8月7日(金)開催の大阪セミナーのお申し込みが定員まであとわずかとなっています。
 病棟転換シミュレーションの実例や、定期調査・個別指導の数多くの立会経験から、指摘事項の実例や、様式9号の様々な工夫の実例など、なかなか他では聞けない内容となっています。
 どうぞお早目にお申し込みください。

診療報酬改定を予測する③

 中医協総会などで、慢性期医療に関して以下のことが議論されています。
①療養病棟にあっては、平均在院日数については裾野の長い分布を示している。
②療養病棟にあっては、平均在院日数が長い場合ほど、病状の見通しが不変の患者や死亡退院の割合が大きい。
③療養病棟入院基本料1・2とも医療区分2の患者の割合が高く、療養病棟入院基本料2では、1と比べて医療区分1の患者が多く、医療区分3の患者が少ない。
④医療区分3のほとんどの項目で、療養病棟入院基本料1の方が該当患者の割合が大きい。
⑤医療区分2の項目のうち、喀痰吸引・気管切開・パーキンソン症候群・透析患者については、入院基本料1の方が多い。
⑥パーキンソン・認知症・脳血管疾患の患者は、特殊疾患病棟入院料2を除く全ての病棟に入院している。
 以上の①~⑥の議論は、整理するとこのようになります。療養病棟に長く入院している患者の多くは、病状の不変ないわゆる社会的入院が多くを占めている。そしてその多くが亡くなるまで入院している。医療区分1・2は療養病棟入院料1・2のいずれの病棟でも受け入れ、医療区分3の患者と医療区分2のうち喀痰吸引・気管切開・パーキンソン・透析患者については、療養医病棟入院基本料1を中心に受け入れている。パーキンソン・認知症・脳血管疾患の患者は、療養病棟でも受け入れている。
以上から、次回の診療報酬改定をこのように予測します。
①基本点数を引き下げ、入院期間に応じた加算を新設
②医療区分1・2の基本点数を更に引き下げ
③医療区分2のうち、喀痰吸引・気管切開・パーキンソン・透析患者を医療区分3に引き上げ
④障害者病棟・特殊疾患病棟の対象患者から、パーキンソンを除外

診療報酬改定を予測する②

 前回改定の目玉のひとつであった地域包括ケア病棟(病床)への転換は、小規模にとどまる一方、回復期リハビリテーション病棟が急速に伸びており、ADL評価・看護必要度A項目評価・ADL向上割合にばらつきがあるにもかかわらず、リハビリ提供単位数が一様に伸びていると調査結果が示しています。また、地域包括ケア病棟(病床)の患者のうち、多くの比率でリハビリテーションを実施しており、その提供単位数は2単位を中心に広い分布を示しているとの調査結果も出ています。
 以上から、地域包括ケアと回復期リハビリの条件の開きを埋めるべく、以下の改定が予測されます。
 ①地域包括ケアにおける厚いリハビリ提供に対する評価:充実加算
 ②回復期リハビリにおけるリハビリ提供単位数上限の見直し
 :ADL評価に応じてリハビリ提供単位数上限の引き下げ
 ③入院料の基準に応じてリハビリ提供単位数上限の引き下げ
 :回復期1 9単位  回復期2:7単位  回復期3:6単位

診療報酬改定を予測する①

 中医協総会や入院医療等の調査・評価分科会において、次回診療報酬改定に反映されそうな協議がなされていましたので、それを基に次回診療報酬改定の予測をしてみました。何回かに分けて触れていきます。
 まず、一般病床についてですが、7対1が厚労省の目論見に反して1万4千床しか減少しなかったとのデータが示されました。 また、平均在院日数について、7対1の平均が13.8日、10対1の平均が16.3日であるとの調査結果が示されました。重症度、医療・看護必要度については、評価項目の見直しが一定の効果があったと評価しつつ、7対1の平均が18.9%、10対1の平均が16.1%だとの調査結果も示しています。更には、7対1の一部では、自宅等への在宅復帰率が高くない医療機関もあるとの調査結果も示されています。
 このことから、前回改定では思うように減らなかった7対1を減らすべく、次回改定では以下の内容で改定が行われることを覚悟しておくべきだと思います。
 ①7対1と10対1の平均在院日数短縮:2日程度
 ②7対1の重症度、医療・看護必要度:15%→18%程度
 ③7対1在宅復帰対象範囲の縮小:自宅・居住系介護施設のみを
  対象に

DPCデータ大いに活用すべし

 3月31日に地域医療構想策定ガイドラインが示されました。それを見ると、医療機能区分ごと(C1~C3)の医療資源投入量の算定など、DPCデータが活用されていることがわかります。
 これから、各病院でも適正な病棟構成を考えていかなければならないと思います。その際、DPCデータを活用することをお勧めいたします。
 このたび、一般病床(DPC)にどれほど地域包括ケア病棟に転換できる患者がいるかを調べたデータをその一例としてお示しいたします。
 データだけではわかりにくいと思いますので、弊社主催のセミナーで詳しくご説明いたしますので、どうぞご参加ください。
image201
image202

杜撰な回収計画で莫大な経費投入は命取り

 今の病院は2025年に向かって、嵐の中の木の葉のごとく政策に振り回されています。7対1の削減、入院期間の短縮、未だにわかりにくい機能区分の問題などなど、山積する課題を乗り越えていかなければなりません。
 そこで最も留意しなければならないのが資金の投入量です。今までに比べ、今後は投入した資金を回収する道がどんどん細く少なくなってくるのは間違いありません。
 政策は入院・外来とも病院から患者を奪おうとしています。
 自院は高度急性期だと嘯いて甘い回収計画の下で設備投資・高額医療機器・人的資源などで過大な資金投入してもお金は帰って来ません。「失敗した!」では遅いのです。
 既に資金を投入してしまったのであれば、あとは設備・機械・人を投入した金額に見合うだけ働かせるしかありません。政策は患者を奪おうとしていますが、患者は病院にかかりたいのです。病院がその気になって患者獲得の取組を行えば、政策に逆らう病院運営も十分可能だと思います。

1 2 3 4 17