診療報酬改定骨子発表①

1月15日に2014年診療報酬改定の骨子が中医協より発表されました。詳細はこれからになりますが、今改定でどのような改定が実施されるかが示されています。特に入院診療については、2025年モデルに向けた第一歩となり、大きな影響が予測されますので、重要部分を何回かにわけて、骨子の内容とそれに関する今までの議論の内容を整理して示してみたいと思います。

1.急性期関係
1-1-1
(1)病床の機能分化を図る観点から、7対1、10対1一般病棟入院基本料等を算定する病棟をはじめとする急性期を担う病棟について以下のような見直しを行う。
① 一般病棟における長期療養患者の評価について、適正化の観点から、平成24年度診療報酬改定で見直しを行った13対1、15対1一般病棟入院基本料以外の一般病棟入院基本料、特定機能病院入院基本料(一般病棟)及び専門病院入院基本料を算定する病棟においても、特定除外制度の見直しを行う。
⇒議論【11.20】
1. 90日を超えて入院する患者を対象として、①引き続き一般病棟に入院可能とするが、平均在院日数の算定対象とする。②療養病棟入院基本料1と同じ評価(医療区分・ADL区分を用いた包括評価)とし、平均在院日数の計算対象外とする。
※DPC/PDPSの場合、注意が必要。
平成24.4.27事務連絡を参考とすると、(DPC点数早見表P.26問5-4)DPC/PDPS樹形図で分類した日数の入院期間Ⅲ内であれば、入院日より90日を超えていたとしても、特定患者にならない。入院期間Ⅲを超えた時点で入院日より90日を超えていた場合に当該項目に該当することになる。

② 入院患者をより適切に評価する必要があることから、重症度・看護必要度について以下のような見直しを行う。
ア 「重症度・看護必要度」という名称を「重症度、医療・看護必要度」と変更し、評価項目の見直しを行う。また、専門病院入院基本料等(悪性腫瘍7割以上)について評価基準の見直しを行う。
⇒議論【11.27】
1.時間尿測定及び血圧測定について項目から除外
2.創傷処置を褥瘡処置とそれ以外に分けて評価する(急性期に褥瘡処置の評価は議論が必要?)
3.呼吸ケアについて、喀痰吸引を定義から外す
4.抗悪性腫瘍剤の内服、麻薬の内服・貼付、抗血栓塞栓薬の持続点滴の追加
5.点滴ライン同時3本以上」「シリンジポンプ使用」「輸血ポンプの使用」は、いずれかの評価とするべきか。
※最終的に入院医療等分科会の案から「10分以上の指導・意思決定支援」を除いたものとなりそうである。
補足
厚労省試算上(N=85)現行ルールでは、1割5分以上の病院が82.4%(1割以内の変動を含めると87.1%)であるが、新ルールで試算すると、56.5%(1割以内の変動を含めると70.6%)となり、25.9%の病院が1割5分以上の要件を満たさない。

イ 特定集中治療室管理料(ICU)について、より診療密度の高い診療体制にある特定集中治療室に対し、充実した評価を行うとともに、重症度の評価方法の変更にあわせて、評価基準の見直しを行う。
⇒議論【11.13】
1.医師の複数配置、病床面積の確保(現状は、1床あたり15㎡を1床あたり20㎡以上にした場合に評価)、臨床工学技士の24時間勤務体制などについて評価を新設する。
2.評価方法をA項目が3点以上または、B項目が3点以上の患者割合が9割以上の評価を「または」から「かつ」へ変更する。
※86.0%の医療機関が該当していたが、25.6%しか該当しなくなる。9割以上の要件を7割以上に変更しても、53.5%と半減する結果である。基準該当割合の割合を引き下げたり、一定の期間の経過措置を設けた上で実施。

ウ ハイケアユニット入院医療管理料についても、急性期病床における患者像ごとの評価の適正化を図るため、重症度・看護必要度の項目等の見直しを行い、重症度の評価方法の変更にあわせて、評価基準の見直しを行う。
⇒議論【12.6】
1.評価方法を現行のA項目3点以上またはB項目7点以上からA項目3点以上かつB項目7点以上とするとともに、評価項目を一般病棟用と合わせ見直す。
※「または」から「かつ」に変更することによって、8割以上の基準を満たす医療機関の割合が100%から63.2%となる。さらに、「重症度、医療、看護必要度(見直し後)」の基準でシミュレーションを行うと、8割以上を満たす医療機関が、42.1%となり、6割の医療機関が満たせなくなる。
施設基準である、基準該当割合の8割を6割に引き下げても、68.4%の医療機関が満たすにとどまる。
一定期間の経過措置や基準該当割合の引き下げを設定した上で、実施する方向。

③  ―定程度治療法が標準化し、短期間で退院可能な手術・検査が存在していることを踏まえて、短期滞在手術基本料の対象となる手術を拡大するとともに、一部の検査についても対象とする。また、包括範囲を含む評価のあり方を見直すとともに、当該評価の対象となる患者の平均在院日数の計算方法について、見直しを行う。
⇒議論【11.20】
中医協において議論されたものは、17の手術と検査となる。加えて短期滞在手術基本料3の2つの手術については、平均在院日数算定対象から除外されることに加え、新たな評価対象とすることが予想される。また、現行の短期滞在手術基本料の包括範囲ではなく、全包括とすることも議論されている。
※DPC/PDPSにおいてどのような評価となるのかはDPC評価分科会においても議論されておらず、樹形図中「手術・処置」項目に、該当する検査がある場合に該当させる扱いになるのか。(全包括となった時を含め)点数配分はどのようになるのか。在院日数から除外される形とするのか、現時点では一切不明である。

④ 7対1一般病棟入院基本料等を算定する病棟において、自宅等に退院した患者の割合に関する基準を新設する。
⇒議論【11.27】
1.自宅、亜急性期、回復期病床、在宅復帰機能に一定の実績のある介護老人保健施設への退院が○割あることを要件(施設基準とする。)
※現状7対1の在宅復帰率は、約74.2%

⑤ 7対1一般病棟入院基本料等を算定する病棟において、DPCデータの提出に関する基準を新設する。
⇒議論【11.27】
DPCデータの提出を7対1一般病棟入院基本料算定の施設要件とする。
※現状7対1のデータ提出率は、78.6%
※骨子には、「等」とあるので、さらに広げるのか?

(2)総合的かつ専門的な急性期医療を担う医療機関について、―定の実績等を有する医療機関に対し、より充実した評価を行う。
⇒議論【11.27】
救命救急医療(第3次救急医療)として24時間体制の救急を行い、精神病棟等の幅広い診療科の病床を有し、人工心肺を用いた手術や悪性腫瘍手術、腹腔鏡下手術、放射線治療、化学療法および分娩件数等に係る一定の実績を全て有する医療機関に評価を新設する。
※いわゆる『スーパー急性期病院』を評価する加算であり、現状では全国で10病院程度しか存在しない。「総合入院体制加算1」をさらに厳しくしたもの。
※この新設された項目を算定する医療機関は、機能分化の観点から亜急性期入院医療管理料及び療養病棟入院基本料等の届出を不可とする。

(3)新生児医療について適切な評価を行う観点から、以下のような見直しを行う。
① 出生体重が1、500g以上の新生児であっても、一部の先天奇形等を有する患者について、新生児特定集中治療室管理料等の算定日数上限の見直しを行う。

⇒議論【11.27】
染色体異常等の患者含め、算定日数上限を引き上げる。

② 新生児特定集中治療室管理料1等の施設基準について、出生体重1、000g未満の患者の診療実績等の基準を新設する。また、新生児特定集中治療室管理料2についても、出生体重2、500g未満の患者の診療実績に関する基準を新設するとともに評価の見直しを行う。
⇒議論【11.27】
超低出生体重児や、先天奇形の患者を一定程度受け入れている実績を施設基準に設定する。新生児特定集中治療室管理料2については、受け入れ実績を設定した上で、評価を引き上げる。

(4)小児特定集中治療室管理料における評価のあり方について、実態を踏まえて、必要な見直しを行う。
⇒議論【11.27】
施設基準に設定されている、受け入れ実績基準を緩和し、一定の実績を有する医療機関については、算定を認める方向で見直しをする。

Ⅰ-5(1)① 急性期病棟に入院している患者について、ADLの低下が一部にみられることから、病棟におけるリハビリテーションスタッフの配置等についての評価を新設する。
⇒議論【12.4】
循環器系の疾患、新生物、消化器系の疾患等の患者が多く、65歳以上の患者が○割以上の急性期(7:1・10:1)にリハビリテーションのスタッフを配置すること(2名以上?)の評価を新設する。
※配置した場合は、「入院時に比べ退院時にADLが低下した者の割合が○%以下」という目標を設定しそれをクリアした場合を要件とする。

Ⅰ-10(2)② 機能評価係数Ⅱ
現行の機能評価係数Ⅱの6項目(データ提出指数、効率性指数、複雑性指数、カバー率指数、救急医療指数、地域医療指数)に加え、後発医薬品の使用割合による評価方法である「後発医薬品指数」を導入する。
また、現行の6項目についても、必要な見直しを行う。
⇒議論【12.25】
機能評価係数Ⅱは、調整係数廃止に伴う移行期間であり、平成30年度改定までの4回、改定の度に段階的に配分割合が引きあがる。今回の改定では、平成24年診療報酬改定の倍の係数が配分されることになる。
新設される「後発医薬品指数」は、後発医薬品の使用割合60%を上限として評価される。

(3)その他
① 3日以内に再入院した際にー連の入院と見なすルール、持参薬の取り扱い等、現行のDPC/PDPSの算定ルール等に係る課題について必要な見直しを行う。
⇒議論【12.25】
1.再入院の判断をDPCコード上6桁の3日以内から、上2桁の7日以内とルールが変更となる。
2.退院時から再入院時までの退院期間は、入院期間に含めないことに変更。
3.入院があらかじめ決まっている入院において、「当該入院の契機となった傷病」を治療するために使用することを目的とする薬剤ついては、外来で事前に処方するなどした上で、持参させ入院中に使用してはならない。

② DPC導入の影響評価に係る調査(退院患者調査)については、DPC対象病院において外来診療に係るデータの提出を必須とする等、必要な見直しを行う。
⇒議論【12.25】
今回の改定で、Ⅲ群病院についても、義務化ということになる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です